その隣にある特別な景色。
AVMに、新しいコレクション「PARALLEL」が加わりました。
北海道・根室で古川広道さんが作るAVM。clichéではもうお馴染みですが、新しいものを見るたびに、まだこんなことを考えていたのかと思わされます。今回のPARALLELもそうでした。
ゴールドとシルバー。異なる色、異なる光を持つ二つの金属が並びながら、一つのジュエリーになる。混ぜてしまうのではなく、どちらかに寄せるのでもない。違うものが、違うまま隣にいる。
その構造を見たとき、素直に格好いいと思いました。同時に、また余計なことを考えてしまいました。
「これ、白と白で作ったらどうなるんだろう」

こんばんは。cantáte 松島です。
今回、PARALLELの新作に合わせて、clichéのために4点を特別に作ってもらいました。
PARALLEL RINGとPARALLEL NECKLACEは、K10 WHITE GOLDとSV950。

¥220,000 TAX IN
〜9号 ¥220,000- TAX IN
10〜14号 ¥231,000- TAX IN
15〜19号 ¥242,000- TAX IN
20〜24号 ¥253,000- TAX IN
25~30号 ¥264,000- TAX IN

"PARALLEL NECKLACE〈K10× SV950〉"
¥814,000 TAX IN
HUNTERとANGELは、K10 WHITE GOLDをベースに、裏面をK18 GOLDで仕上げたINSIDE OUTです。

¥686,400 TAX IN
〜9号 ¥686,400- TAX IN
10〜14号 ¥720,720- TAX IN
15〜19号 ¥755,040- TAX IN
20〜24号 ¥789,360- TAX IN
25~30号 ¥823,680- TAX IN

¥327,800 TAX IN
〜9号 ¥327,800- TAX IN
10〜14号 ¥344,190- TAX IN
15〜19号 ¥360,580- TAX IN
20〜24号 ¥376,970- TAX IN
25~30号 ¥393,360- TAX IN
まずはK10 WHITE GOLDの話から。
今回、僕から「K10でお願いします」と指定したわけではありません。古川さんに聞いたんです。
「古川さんが一番好きなWHITE GOLDって、何金ですか?」
答えが、K10でした。
でしたら、それで作って欲しいです。
話としてはそれだけなんですが、ここから古川さんには少々面倒なことになりました。
金は純度が下がるほど、割金の種類や比率によって硬さなどの性質が変わります。K10 WHITE GOLDは、K18などに比べてもかなり硬質な材料になる。つまり、作る側からすれば簡単な素材ではありません。
まして今回のPARALLEL NECKLACE。リングならまだしも、あの細かなチェーンをK10 WHITE GOLDで一つずつ作っていく。
たぶん、苦行です。
「K10で」と話が決まった瞬間、古川さんが一瞬だけ「しまった」という顔をしたのを、僕は見逃しませんでした。
すみません。
でも、出来上がったものを見ると、やっぱりK10でよかった。
ここでいう硬質というのは、単に金属として硬いという話だけではありません。見たときの光にも、どこか張りがある。SV950の少し柔らかな白に対して、K10 WHITE GOLDは冷たく、輪郭のある白に見えます。それなのに、嫌なギラつきがない。
硬質なのに、上品。
この感じが今回のPARALLELにはすごく合っていました。
通常のPARALLELはシルバーとゴールドです。色の違いがあるから、二つの金属が並んでいることがすぐにわかる。僕がお願いしたのは、その反対です。



K10 WHITE GOLDとSV950。白と白。
遠くから見れば、一つの白に見えるかもしれません。でも近づくと、光が違う。色温度も違う。使い込んでいけば、それぞれの金属が違う時間を重ねていく。



同じように見えるけれど、同じではない。
むしろPARALLELという名前なら、こういう並び方も面白いんじゃないかと思ったんです。
二本の線は、隣にいながら交わらない。WHITE GOLDがシルバーのふりをする必要もないし、シルバーがWHITE GOLDに見える必要もない。それぞれが自分の光を持ったまま、すぐ隣にいる。
今回のPARALLEL RINGは、その違いがいちばん小さな面積に凝縮されています。一見すると静かです。コンビネーションのジュエリーにありがちな、二種類の素材を使っていること自体をデザインとして主張する感じもない。
でも手元で見れば、ちゃんと違う。
僕はそのくらいが好きです。



そして、PARALLEL NECKLACE。
こちらも同じK10 WHITE GOLDとSV950ですが、もう一つわがままを言いました。オリジナルは74cm。clichéでは、49cmです。25cm短くしました。
これは素材の話ではなく、完全に服から考えています。
74cmには、もちろん74cmの良さがあります。胸元までしっかり落ちるので、ジュエリーそのものがスタイリングの中で一つの要素になる。でも僕が欲しかったのは、もう少し首に近いところでした。
Tシャツなら襟ぐりのすぐ近く。シャツなら第一ボタンを開けたところから少し見える。ジャケットを着ても、Vゾーンの奥へ消えてしまわない。
ネックレスを見せるために服を選ぶのではなく、いつもの服を着たところにネックレスがいる。
そのための49cmです。

数センチどころか25cmも変えているので、同じネックレスでも印象はかなり違います。そして何より、この49cmをK10 WHITE GOLDで作ってもらった。
古川さんには重ね重ね申し訳ない。
チェーンを見るたびに、僕はあの一瞬の表情を思い出すことになりそうです。


もう二つは、HUNTERとANGEL。こちらは少し考え方を変えました。
表から見えるのはK10 WHITE GOLD。そして裏側に、K18 GOLD。
INSIDE OUT。
金色を使うなら、普通は見えるところに持ってきたくなると思います。でも今回は、逆にしたかった。
外から見えるところは静かな白で、裏返したときに初めて金が出てくる。
身につけている時間のほとんどは見えないかもしれません。それでいいと思っています。


服でも、僕はそういうところに惹かれます。ジャケットの裏側だったり、ポケットの袋布だったり、ボタンを外したときにしか見えないところだったり。人に説明しなければ、一生気づかれないようなことを平気でやる。
でも、自分は知っている。
そのくらいの贅沢のほうが、長く付き合える気がします。
HUNTERとANGELの金色も同じです。ずっと見せるための金ではなくて、外したとき、動いたとき、たまたま裏返ったときに見える金。
見せびらかさないからこそ、少し色っぽい。

今回4点をお願いしてみて、改めて思ったことがあります。
別注って、元のものを自分好みに変えることではないんですよね。少なくとも僕は、そうしたくない。
PARALLELが格好よかったから、違うPARALLELも見たくなった。
古川さんがK10 WHITE GOLDを一番好きだと言うから、それならその素材でPARALLELを見てみたくなった。
74cmが悪いから49cmにしたわけでもない。僕の服なら49cmをどう使うか、それを見てみたかっただけです。
元のデザインに何かを足すというより、元のデザインが持っていた可能性を、少し横に広げてみる。
ブランドと店の別注って、本来そういうものなんじゃないでしょうか。
古川さんは根室でAVMを作っていて、僕は東京で服を作りながらclichéをやっている。見ているものも、考えていることも違う。でも、ときどき話をすると、その間に今までなかったものができる。
それもまた、PARALLELだと思う。



AVMの新しいコレクションに、clichéから4つの仲間が増えました。
ちょっと可愛らしい言い方ですが、今回はそのくらいの感じがちょうどいい。
僕らがPARALLELを作り直したわけではありません。古川さんが見つけた新しい景色のすぐ隣に、「こっちも見てみたいです」と、もう一本線を引いてもらった。
K10 WHITE GOLDとSV950。表の白と、裏側のK18 GOLD。そして74cmから49cmへ。
どれも、知らなければ通り過ぎてしまうくらいの違いです。
でも、そのくらいの違いのために、ずいぶん面倒なことをしている。
たぶん、ものを作るってそういうことなんだと思います。
効率だけ考えたら、やらなくていいことの方が多い。K10 WHITE GOLDじゃなくてもいいし、49cmじゃなくてもいい。わざわざ難しい方を選ばなくても、ものとしては成立します。
でも、「そこまでやらなくてもいい」に、どこまで付き合えるか。
最近、そんなことをよく考えます。
というのも、もう一つ、ずいぶん面倒なことをして作ったものが届きました。
それについては、また明日。
古川さん、ありがとうございました。
そしてK10のチェーンについては、改めて、すみません。
cantáte 松島 紳
