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「誰も教えてくれない、ジーンズの見方」

「誰も教えてくれない、ジーンズの見方」

スタイルの幅が広がる、セールの醍醐味。

夏、レザーを買うという選択。

"素敵な買い物だった"と、いつか言える相棒

いつものTシャツがBLESSだったら──

 

こんばんは。cantáteの松島です。

 

いいデニムの見分け方、知っていますか?


──えー、そんなのディテール次第でしょ?

たとえばバックポケットの口元は、バータック(カンドメ)より隠しバータック。できれば“隠しバータック+隠しリベット”だったら尚いい、って話じゃないの?


はい、正解です。

大正解。


でも、そうした「正解」は意外と知られていないもの。特に縫製まわりのディテールは、言われてみないと気づきにくいし、知っていても実際の服の中でどう活きているのかは、もっとわかりにくい。


今日は、cantáteのジーンズづくりで大切にしている“積み重ね”について、少しお話してみたいと思います。

良いデニムには、ちゃんとした理由がある。雰囲気よく見える服には、必ず積み重ねがある。そんな話。

 

諸説ありますが、1950〜60年代は「デニムの黄金時代」と呼ばれています。

丈夫でタフなジーンズが必要とされた時代。大量生産が進み、10〜15分で1本縫い上がっていたとも言われます。煙突や換気扇から青い糸くずの煙が立ち上っていたとか、そんなエピソードすら残っている。


つまり、デニムのディテールはすべて“効率”や“合理性”から生まれたもの。そこに無駄なデザインは一つもなくて、すべてが「意味あるかたち」なんです。


 

たとえば…

  • 小股と持ち出しステッチ

    すごい力が加わる部分なので、太い番手で縫われています。

  • コインポケットが耳使い(セルヴィッチ)

    ということは、身頃と地の目が逆。スウェットで言うところのリバースウィーブ的構造ですね。
    さらに、セルヴィッチ生地の端を使うことでロックなどのほつれ防止処理が不要になり、一工程削減されるという効率性もあります。

  • バックポケットの一筆書きステッチ

    そりゃ一筆で縫った方が早いし楽ちん。

  • 中高のベルトループ

    チェーンステッチは糸替えが不要で早く縫えるけど、ほどけやすい。だから真ん中を盛り上げて、糸が切れる前にループが擦り切れるようにした。壊れにくい工夫です。

  • センターバックループの“オフセット”

    厚い縫い合わせを避けて、わざと少しズラして縫う。針が折れたり失敗しないように。

  • ヨークのステッチ幅

    通常は1/4ゲージ、つまり0.65mm幅が一般的ですが、cantateではあえて0.72mmを採用。
    たった0.07mmの違いですが、ステッチの見え方、陰影、全体の表情に確かな差が出ます。
    この“0.72mmゲージ”は、あの「デニムの王様」を縫っていた伝説の工場にしか存在しない特別なミシン。

  • 裾の三巻とステッチ幅(1cm折り+8mmステッチ)

    ステッチの“針数”(=細かさ)ももちろん大事ですが、“幅”も同じくらい大切。
    意味ある寸法の積み重ねが、自然で格好が良い見た目につながるんです。

  • ポケット口のステッチ方向

    表からじゃなく、裏(スレキ)側から縫う。それがオリジナルの仕様。しかも、表に出る下糸側の締まりが良くなり、耐久性も増す。効率と機能の両立です。

  • バンザイ付け

    5本のベルトループをつける位置を印つけるのが面倒? じゃあベルトの上端ステッチと一緒に仮止めしちゃおう、というアメリカ的合理主義。

  • V字・コの字ステッチ

    トップボタンの位置を後で印をつけるのが面倒だから、先にステッチで示しておこう──そんな安直さから生まれたディテールです。
    でもそこにはもうひとつ理由があって、チェーンステッチは“返し縫い”ができない構造。だから解けないようにするための工夫でもあったんです。
    効率と合理性、そして構造上の制約から生まれたV字ステッチは、今ではヴィンテージらしさの象徴として愛されているディテールのひとつ。

    ぼくが一番大好きなディテールです。

  • ベルト帯付きのチェーンステッチが端まで縫われているか

    表から見ただけではわかりません。でも裏を見れば、一発でわかります。
    ベルトをチェーンステッチで縫っているなら、本来はベルトの端までしっかり縫い込むのが当たり前。
    ところが、途中で縫うのをやめて、なんとなく“それっぽく”V字やコの字ステッチだけを足したジーンズが平然と売られています。

    なぜそんなイミテーションがまかり通るのか?
    理由は明白で、端まで縫うのは面倒だから。時間も手間もかかるし、やる側のモチベーションがなければ絶対にやりません。
    でもそれ以上に深刻なのは、作る人間も、チェックする工場も、誰ひとり「本来どうあるべきか」を知らないまま作っているということ。
    効率優先で、誰も気にしていない。
    だから“それっぽい”だけのジーンズが堂々と世の中に出回っている。

    良いジーンズを見分けるには、“気にしているかどうか”を見ればいい。それだけで、大体のことは見抜けます。

 

ここまで読んでくれたあなたは、もう「いいデニムの見分け方」がきっと分かってきたはず!

見た目の良さは、偶然できるものじゃない。

時間をかけて、手間を惜しまず、細部にちゃんと意味があるものだけが、最終的に「雰囲気よく」見える。


cantáteのジーンズは、そういう積み重ねの先にあります。


次にジーンズを手に取るとき、ぜひ裏側まで見てみてください。

“意味がある服”は、表だけじゃなく、裏まで語ってくれますから。

 

最後に一年着用エイジングサンプルの写真撮ってみました。

実物もclichéに置いておくのでぜひ、触って見てみてくださいね。

 

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cantáte 松島 紳

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