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同じ形でも、素材が変われば服は別物になる。

同じ形でも、素材が変われば服は別物になる。

シンプルなシャツは、もういらない。

これしか穿けなくなる覚悟はありますか?

違和感は、やがて当たり前になる。

「縮みません」を、信用しなかった理由。

こんばんは。cantáte 松島です。


春夏になると、

みんな急に服に求めることが単純になります。


軽い。

涼しい。

洗える。

楽。


もちろん、それ自体は間違っていません。

暑いんだから、快適さを求めるのは自然なことです。


でも、その基準だけで服を選び始めると、

だいたいどこかでつまらなくなる。


軽いけれど頼りない。

涼しいけれど貧相に見える。

着ていて楽だけれど、鏡に映る自分が少し物足りない。

春夏のジャケットって、

まさにそういう服が多いと思います。


暑い時期に着るんだから仕方ない。

重いよりはいい。

きちんとして見えなくても、涼しい方が正義。


そうやって割り切ることもできる。


でも僕は、

それを割り切った瞬間に、服としての面白さはかなり失われる

と思っています。


ジャケットである以上、

やっぱりどこかに“構え”は必要です。


ただの羽織りではなく、

着たときに少し輪郭が出ること。

気を張っていないのに、ちゃんとして見えること。

楽なのに、だらしなく見えないこと。

<cantáte>

"C/Li Double Cloth Directors Jacket"

COL : NOIR

¥308,000 TAX IN

※袖口はアンフィニッシュ仕様でのお渡しです。
袖丈詰めをご希望の方は、オンラインストアからご注文の場合もお気軽にご相談ください。
お修理代は頂戴しますが、お気軽にご相談いただければと思います。

 

この矛盾を解決したくて作ったのが、

今回のDirectors Jacketです。


以前に作ったCashmere × Linenのモデルは、

素材としても仕立てとしてもかなり特別なものでした。

あれは特別な一着で、僕自身すごく思いれがあります。


ただ、正直に言えば、

価格の面で簡単に勧められるものではありませんでした。


実際に、

「考え方はすごく好きだけれど、そこまでは手が出ない」

という声もかなりありました。


それは当然だと思います。

服がどれだけ良くても、価格が現実から離れすぎると、

好きだけでは越えられない線がある。


だから今回は、

このジャケットの考え方は残したまま、

もっと現実の中で選べるものとして作りたかった。

コットンレーヨンの身頃裏、キュプラの袖裏、そして細く整えられたパイピング。

背抜き仕立てのジャケットを裏返したときに現れる、この景色がたまらなく好きです。

 

丁寧に手まつりされた、そら豆型のアームホール。

そして、縫い代がだぶつかないよう星留めで美しくまとめた袖底。

見えない部分ですが、こういう始末にその服の品が出ると思っています。

 

ただし、

安く見える方向には絶対に振りたくなかった。


ここはかなり大事なところで、

価格を下げることと、服の格を下げることは、まったく別の話です。


世の中には、

価格を抑える代わりに、

芯を抜いて、裏を省いて、手間を減らして、

“それっぽいジャケット”に着地する服がたくさんあります。


でもそういう服は、

最初は良く見えても、着るとすぐにわかる。


軽いけれど、頼りない。

柔らかいけれど、輪郭がない。

楽だけれど、そのぶん緊張感も品もない。


つまり、

着る人を雑に見せてしまう。


それだけは避けたかった。


だから素材には、

今回新たに製作した

Double-Layered Cotton-Linen Cloth を使っています。

ドライなコットンリネンと、水牛ボタンの艶の対比。

水牛ボタンは一点ごとに表情が異なり、使い込むほどに艶を増していきます。

 

コットンとフレンチリネンを交織した、

ふくらみと反発感のある二重織。


二重織と聞くと重そうですが、

この生地はむしろ逆で、

内部に空気を含んでいるから見た目以上に軽い。


しかも、ただ軽いだけじゃない。

リネンの張りがあるから、

ジャケットとして必要な輪郭がきちんと残る。


コットンの柔らかさがあるから、

着たときに変な緊張を強いない。


ドライな肌離れがあって、

汗ばむ時期でもベタつきにくい。

でも薄くて頼りないシャツ地の延長には見えない。


軽さ、涼しさ、輪郭、品。

その全部を、できるだけ崩さず共存させたかった。

月腰を省き、一枚で構成した襟。

柔らかく自然な返りが生まれます。

身頃付けと肩線は手まつりで仕上げ。

手縫い特有の遊びが生まれ、アクションプリーツのように身体の動きへ自然に追従します。

 

春夏の服って、

薄くなるぶんごまかしが効きません。


秋冬なら、

重さや厚みや重ね着で雰囲気を作れる。

でも春夏は違う。


一枚で立たなければいけないし、

一着で整って見えなければいけない。


だからこそ、

素材の選び方がそのまま服の説得力になる。


仕立ても同じです。


裏地に適度な遊びを持たせるための糸ループ。

 

縫い代をカットせず仕立てた額縁仕様のベンツ。

お直しを前提に考えれば、本来こうあるべきだと思っています。

 

今回も背抜き仕様で、

身頃裏にはコットン×レーヨン

袖裏にはキュプラストライプを使用しています。


さらに、

パイピング、星止め、襟裏や裏肩線の手まつりなど、

見えない部分までしっかり手を入れている。


この価格帯でも、

そういうところを抜かなかったのは、

見えない部分を抜いた服は、結局見た目にも出るからです。


服って不思議なもので、

人は仕様書を見なくても、

ちゃんとした服かどうかをなんとなく感じ取ります。


それはたぶん、

見えない手間が、

見える雰囲気に変わっているからです。


羽織ったときに

「なんかちゃんとして見える」

の正体は、そういうところにある。


今回のDirectors Jacketは、

前回の素材違いというより、

この型の考え方を、もっと現実に引き寄せた一着

だと思っています。


前回より手が届きやすい。

でも、だからといって簡単な服ではない。

むしろこの価格でここまでやるからこそ、

意味がある。


安い服ではありません。

でも、

高い理由をきちんと説明できる服です。

暑い季節にジャケットを着るのは、

少し無理をすることでもあります。


だからこそ、

その無理にちゃんと意味がある服を作りたい。


軽いだけではない。

涼しいだけでもない。


それでも羽織りたくなる理由がある。


そんな春夏のジャケットです。

 

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cantáte 松島 紳

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