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「Rios of Mercedesというジャンル」

「Rios of Mercedesというジャンル」

”時間”を感じ、”存在”を表現する服。

ルールを壊す説得力。ーBLESSの秋冬ー

表には出ないけれど、確かにそこにある──cantáteのスラックスの話

「気にしてるかどうか」が、すべて──cantáteのジャケットの話

 

こんばんは。cantáteの松島です。


ウエスタンブーツは映画の中のアイコンのような存在で、試着する機会すら避けていたと思います。


でも「絶対好きだから履いてみて欲しい」──その一言で食わず嫌いが終わりました。

足を入れた瞬間に気づいたんです。これは「ウエスタンブーツ」ではなく、本物の道具だと。

 

 

「重い・硬い」常識を裏切るフィット感

 


ブーツと聞くと、多くの人が「重くて硬い」とイメージするはず。

実際、他のブランドではそう感じた経験がありました。


けれどRios of Mercedesは違う

足を入れた瞬間から自然に包まれるようなフィット感があって、歩き出すと驚くほど軽やか。

100年以上受け継がれてきた木型と、ハンドメイドならではの調整が、それを可能にしています。


半年、1年と経つうちに、その驚きが確信に変わりました。

 

伝統と変態的ディテール

 

■木型と手吊り込み

土踏まずに吸い付くようなフィット感は、職人の手で仕上げられた木型と、手吊り込みからしか生まれません。

マシン吊りは凹凸が少なく、どこかのっぺりとした表情になります。

手で引っ張り、破れるギリギリまで革の癖を見抜いて吊り込まれた靴は別物に変身する。──それこそ、まな板から、ボンキュッボンのように色気をつける作業が手吊りだと思う。

 

■アウトソールレザー

極厚のアウトソールには、約90日間じっくりと鞣されたベジタブルタンニンレザーから、牛革の中心部(ベンズ)だけを切り出した革が使われます。


仕上がったレザーはさらに圧力をかけて潰す工程を何度も繰り返し、硬さと耐久性を兼ね備えた素材へと変化していきます。

短く密な繊維構造は、ただ強いだけでなく、軽さと長寿命を両立させるのです。


さらに土踏まずの部分は、*レモンウッドペグ(レモンの木製の杭)*でソールを固定。

金属の釘ではなく木を使うのは、革と同じように呼吸し、湿度変化に合わせて膨張・収縮を繰り返すことで、革と一体化していくから。

見えない場所にこんな手間を惜しまないのも、Riosらしい“変態的”なこだわりです。

 

  • 10年履いて飴色に育ったインソール

    自分の足形が沈み込み、唯一無二のフットベッドに。

    レザーは日焼けして茶色に深まり、ウッドペグだけが白いまま残る

 

  • 新品のインソール

    無垢で張りのある状態。

    ここから履き手の歩みを刻み、唯一のフットベッドへ育っていきます。

■インソールレザー

インソールには、アウトソールと同じレザーの肩や腹部から切り出された部分が使われます。

柔らかく、ウェルトを縫い付けるチャネルを保持しやすい繊維構造。

履き始めるとすぐに足の形を記憶し、唯一無二のフィット感を生み出します。

何より、良いインソールは臭くならない

これも「道具」として日常を支えるための、大切な要素。

そして自分の足形をそのまま刻み込んだ、世界に一つだけのフットベッドです。

 

■独自のウェルト構造

グッドイヤー製法に似て非なる、ウエスタン独自のウェルト付け

ハンドソーンと同じくリブテープを使わないため屈曲性に優れ、修理を前提とした構造です。

中の詰め物はコルクではなく、デニムのような布が一枚。

(ぼくの憶測だと、修理するときに浸水したことがあるかどうか。そんなチェックするためだけの布だと思うw)

コルクが入っていないから蒸れない。夏に最高。


そんな細部まで理由を持って作られています。

 

■刺繍ステッチワーク

シャフトに施される刺繍は、単なる装飾ではなく、緻密な技術の証。

シャフトの刺繍は、シルクスクリーンのように一版一版、版を変えながら買えるこだわりよう

一針ごとに意味と魂が込められた模様。

実はね、この刺繍の機械は日本製。とっても誇らしいです。

日本の機械じゃなきゃダメなんですって。

 

■サイドシームとパイピング

一般的にはビニールが使われる部分ですが、リオスは凧糸にレザーを巻いて作る

だから擦れても絵になるし、肌あたりも快適でベタつかない

 

■ヒールとボックス・トゥ

多くのブーツではプラスチックやスチールが使われる芯材。

リオスではヒールも爪先もレザー削り出し。だから通気性が良く、個体ごとの微妙な差が愛おしい。

さらに、積み上げレザーヒールは地面に着地した時の履き心地が素晴らしい。なにより美しい。

ナンポウとか合成樹脂とかじゃなくて、今でも一枚ず丁寧に積み上げられたヒールは姿勢まで整えてくれる。

説明しないと気づかない、わからない部分まで手を抜かない。

というか、手を抜くとか抜かないとかそういうんじゃなくて、これしか知らないんだと思う

 

どこを切り取っても、当たり前のことを当たり前にする無垢さ。

そんな擦れていない部分までも好き。

もうエフェクトが掛かっていると言われてもしょうがないけどw

 

隠された装飾の意味

 

 

ウエスタンブーツのシャフトに入った刺繍。

ぱっと見は派手に見えるかもしれません。


でも、実際にはズボンの裾に隠れていて、脱いだときや足を組んだときに初めて目に入る程度のもの。

日常ではほとんど人目に触れないんです。


じゃあなんで入っているのか?

実は、刺繍がなければシャフトは自立できません。

構造上の理由があって、その上で「どうせなら格好が良い方がいいよね」という発想から、家紋のように模様が縫われるようになったんだと思います。


だから、この刺繍はただの飾りじゃない。

機能に基づいた必然でありながら、美学でもある。

そんな背景を持つウエスタンブーツは、本場アメリカではドレスシューズ以上にフォーマルとされる場面もあるくらいです。


過剰な演出ではなく、構造から生まれた美しさ

それこそがRios of Mercedesのブーツの本質だと思います。

 

 


 

道具としての完成度

 


ぼくにとって服は道具。身体を守り、気候に合わせ、日々を支えるもの。


その意味で、Rios of Mercedes もまた徹底的に“道具”として作られている。

耐久性、履き心地、修理性──「長く使うことを前提にした完成度」は他のブーツの追随を許しません。

 

そろそろ皆さんの物欲を壊したくなってきたので、1年ものと2年ものをご紹介させてください。

 

 

  • 奥:新品

  • 手前:2年履き込んだ私物

    爪先は自然に反り上がり、ヴァンプには深いシワが刻まれている。

    さらにシャフトが前に倒れてくると、ブーツはようやく「自分の足」になっていきます。

    新品とはまるで別物の、格別の履き心地を味わえるんです。

    黒いレザーは、デザインは違えど全く同じレザーを使っています。

 


けれど1年、2年と時間を重ねるだけで、艶感や黒の濃度がこんなにも変わるんです。

同じ革なのに別物に見える──これが「育つ」レザーの面白さです。

 

  • 奥:新品

  • 手前:1年履き込んだ私物

    長く履き込むほどに、ブーツは持ち主の足と一体化していきます。

    シャフトは前に倒れ、つま先は自然に反り上がる。

    アウトソールは飴色に焼け、EVAソールは削れ、新品では決して出せないコントラストを帯びていく。

    その変化こそが、道具としての本質を物語っています。


一方、ナチュラルカラーは徐々に焼け、少しずつ飴色へと変化してきています。

最初は無垢な表情だったのが、時間とともに奥行きを増し、使い手だけの色合いに。

 

 

  • 右:新品

  • 左:1年履き込んだ私物

     革の表情が変わり、シワや艶感が浮かび上がってきています。新品にはない、足馴染みの深さが出ています。

 


これは単なる経年劣化ではなく、道具がユーザーに応える進化です。

手にする人の暮らしや癖を映し込みながら、唯一無二の表情を見せてくれる。


新品が一番ではなく、むしろ「時を経た姿こそ最高に格好が良い」

それを証明してくれるのが、Rios of Mercedesのブーツです。



伝えたいのは、ただ一つ。

ブーツって、こんなに違うのか」という驚きを、ぜひ体験してほしい。

そして──お願いだから、

Rios of Mercedes を“ただのウエスタンブーツ”と一緒にしないでほしい。

これは、ウエスタンブーツの顔をしたRios of Mercedesというジャンルだと思う。

 

何度も言うけど、履けばわかるし、履かなければ一生わからない。

cantáte 松島 紳

 

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