リオスって俺の足なんだよね。
cantate 2024SS presentation preview.
こんにちは。
clichéの木下です。
若かりし木下 (以下 木)
「いや、マジで無理っすよ」
発端は、この一言でした。
数年前からcantate/松島さんとは交流があったので、
洋服や人生について色々と教えてもらいながら、今に至ります。
側面としてはブランドのファンの1人でもある。
距離が近づくに連れ、どんどん物を勧めてくる。
しかも高価なものばかり勧めてくる、恐ろしいお方です。
怖い人だなー、
やべえもん勧めてくるなー、、
その印象は今でも変わらない。でも、後悔はしたことがない。
自分の意思では絶対に手に取ることはなかったものに、
こういった形で出会えるようになれるのは、僕たち接客業の理想形と似ている。
むしろその点、接客業、言葉、経験、
全てにおいて負けていたと言えるくらいに、説得力ある。
後にも先にも、こんな人に出会うことはない、
物の価値を理解し、多くのものを知った上でお勧めされたものだ。
そんなものは、良いに決まっている。
冒頭の、マジで無理っすよ。
というのは、前職の頃からことあるごとに、
口酸っぱく言われていたことに対して、いつも僕が返していた言葉。
口にしながら、その場をスススーッと離れていっていたのを覚えています。
そこからですね、僕の金銭感覚と即決クセにバグが出始めたのは。
松島(以下 松)「リオス買いなよ。」
リオスって何、、?
ウエスタンブーツ?一生履かないな。。
拒絶反応しか示していなかった僕に、食い下がらずにお勧めしてくる。
もはや誰が買うんすか?くらいに思っていた僕は、
本当に失礼極まりない人間でした。
それなのに今では2足目。
経年変化に愛情を注ぎ、格好が良い、歩きやすいと履いていて、
もはやスニーカーよりも楽に履けてしまう魅力に、取り憑かれてしまったんですよね。
そんな、"マジで無理だったRios of Mercedes"。
いえ、無理だったのはウエスタンブーツのことかもしれませんが、
このRiosに出会って変わってしまったんです。
どうして?そんなの、買えばわかりますよ、、
なんてウザい返答はしたくないので、
今回は、未熟だった僕と教えてくれた松島さんの対談形式でお伝えします。
というのも、去年オーダーしていたRiosがようやく上がってきたんですよ。
Rios of Mercedes
"Waxy Kansas"
¥275,000 (TAX IN)
"Stovepipe"
¥275,000 (TAX IN)
木「ウエスタンブーツって物自体、馴染みがなさすぎて、履く勇気がなかったんですよね。そもそも履き方もわからないし、迫力が凄すぎて。。」
松「どういうこと?」
木「脱いであるツラとか、まず見た目にギョッとしないですか?」
松「いやいや、それがかっこいいんじゃん!普段はトゥしか見えないし、座った時にシャフトの刺繍がチラッと見えるのが男のロマンよ。それがウエスタンのいいところ。装飾はウエスタンの世界にしか許されないし、ここがセクシーなんだよね。」
木「確かに。今ではそう思えるようになりました。例えばこう、シャフトにパンツが引っかかってブーツインみたいになってたりしても、わざと直さない、みたいな笑」
松「しかも、そのくせにブーツインばっかしてるやんw」
木「すみません。。」
松「そういえばさ、行きつけのバーに行った時、マスターが教えてくれたんだけど、
お客さんが、僕の靴をみて。あ、リオスだ。って言ってたみたいなんだよね。」
木「ほう。」
松「やっぱウエスタンブーツって沢山あるけど、リオスは見ればわかるんじゃないかな?それくらい品があるし。みんな勘違いしてるけど、ウエスタンブーツっていうのは、アメリカでは紳士靴の立ち位置なのよ。俺らはプレーントゥとかのドレスシューズを想像するかもしれないけど、その辺の靴を履いてるくらいならウエスタンのほうが格式が高いって言われてる。」
木「なんか、不思議な話ですけど、言ってましたよね。それから見方が180度変わりました。」
松「アメリカって移民の文化じゃん?元はインディアンなわけよ。そこからロンドン、メキシコ、イタリアとか。この辺はイタリアの人たちが移民して作り始めたのよ。それでメキシコとかの労働者を雇って作り始めたのが始まり。」
木「ん、じゃあアメリカ人発信じゃないんですか?」
松「いや、アメリカ人ってのはインディアンしかいないのよw ゴールドラッシュがあるじゃん?それからロンドンとかイタリアとかからみんな移民してきて、アメリカが盛り上がったのよ。」
木「え、あ、、そうか。歴史系苦手で、、馬鹿なのバレるので、次行きます笑」
松「うい。」
木「ウエスタンブーツって、どのブランドがいいとかはあるんですか?僕も何個か知ってますけど、お勧めしてもらったのがリオスだったので、、」
松「そんなのリオスしかありえない。なんてったって、履き心地が夢心地。
つまり木型が素晴らしい、そして作りが素晴らしい。持ってるから知ってると思うけど、蒸れない靴擦れ無しでしょ。これがリオスの良さなのね。
リオスはグッドイヤーと違って、 インソールが分厚いから凹み辛いのよ。他のグッドイヤーの靴を履いてみるとわかるけど、まじで返り悪いし、インソールの沈み込みでサイズが変わる。」
木「なるほど。」
松「それにさ、紐じゃないからいい。長靴だから。長靴なのにシュッとしてて、シャープじゃん。他のはもっと寸胴だし、もっというとそれはフィットしてないってことでしょ?ってことは重いじゃん。でもリオスは重く感じないよね?結局は木型ってことなんだよ。だからいい。丁寧に昔ながらの作りで作られたものは、いいんだよ。他のブランドは時代に沿って変わってしまった。」
いろんなブランドのブーツが100足並んでいても、数分あればリオスはどれか判別できるという松島さん。
やはりパッと見でわかる木型、ステッチの細かさが、群を抜いて違うと言います。
僕も履き始めて2年になりますが、初見の時に感じたことなんて全て塗り替えるほど気に入ってしまいました。
不思議なもので、リオスばかり履いていますよ。。
嘘みたいで本当ですが、スニーカーを履くより楽、
それでいて苦手意識のあった、シャフトのステッチですら今は格好良くて仕方がない。
チラッと見えた時の色気や、ジーンズやチノパンに合わせるのがセオリーだと思いつつ、
ワイドなスラックスや、今まで僕が好んで穿いてきたパンツとの相性も抜群。
むしろ異分子が入った感じで、スタイリングも面白く仕上がるんです。
茶色→黒の流れで購入しましたが、
黒が欲しいというリクエストも多く、今回黒の制作に至ったわけです。
一歩目の壁は半端なく大きく感じるかもしれません。
でも、越えてしまったら本当に沼で、、
知り合い、取引先の方、僕が大好きなブランドのデザイナー、
みんな口を揃えていうので、まじで間違いないでしょう。
で、今回のリオスの魅力について。
レザー選びやスタイル選びには僕も見ていましたが、
これは松島さんが選ぶものを買いたい。
色は黒ということ以外は、全く口出しさせてもらえませんでした、、笑
松「昔のリオスっていうのはトゥの形が特徴的で、親指の付け根部分がとにかく薄く、つま先にかけて盛り上がる。それがリオスの格好良さの原点だと思う。アウトソールの色が黒でもウエルトの色はブラウン。それが格好良くて、あえて今この仕様にしたのが今回のリオス。」
木「確かに。黒にするとステッチが目立ちますけど、ブラウンのおかげで馴染んで一体感が生まれますね。」
松「ステッチ繋がりで言うと、トゥのステッチにはタコ糸が入ってて、ステッチの間が盛り上がるように糸を入れてる。
履き込んだ時に判るんだけど艶のグラデーションになる。どこのブランドがステッチの間に糸を一本ずつ通すなんて面倒くさいことするんだよ、、、」
木「めっちゃ細かいですね、、そりゃあ値段にもうなづけます。。使ってるレザーについても詳しく聞きたいっす!"Stovepipe"からお願いします!」
ブラッククロムエクセルを使用し、昔の木型を使ったデザイン。
甲は薄いですが、トゥは盛り上がったエンジニアブーツのような仕上がりです。
シャフトも1inch下げて10inchにしているので、スタイリッシュに見えるのも魅力的。
重そうに見えて軽く歩きやすい、リオスのエンジニアブーツといえるでしょう。
見た感想は、Hans J.Wegnerの家具のように美しい。
ちょうどこの配色の椅子を松島さんが持っていることもあって、
品の中に威厳のような強さも混在している、
迫力のある仕上がりに魅了されました。
それなのに、いざ履いてみると歩きやすいのだから、、色々納得です。
トゥを見てみると既に茶芯が見えていますが、履いていくと表面が削れたり、
ぶつけたりしてヒビが入ったりしてくると、履き込んだエンジニアブーツのようにワイルドな見た目になってきます。
このギャップにグッとくる。
続いては"Waxy Kansas"。
今一度、リオスはカタログのような既製品が存在しない。
つまりカスタムオーダーしかないので、
これらのモデルは、clichéでしか買えません。
似たようなモデルを探そうとしても見つからないのもロマンですよね。
福禄寿で出していた以前のリオスの記事を見返しては、
これ格好いい〜
でももう買えないんだよな〜
子供のようにみたいに話しています。笑
初めからオイルがたっぷりと入った厚手のカーフを使用したモデル。
こちらも理想とするレザーが中々見つからず苦戦しつつも、制作に至ることができました。
いつ使うの?というくらい高価なレザーです。
そもそもウエスタンブーツというのは労働向け、馬を扱う仕事の時に履いたりするものなので、
高価なレザーを使用する必要がないんです。
汚れるし、劣化も早くなるので、むしろ安いほうがいい。
元々Roperタイプと尖ったタイプ、2型作ることは決まっていたのですが、
一度レザーの見本を見にいった際に、
"厚手なカーフでオイルがたっぷりと入ったレザー"
に当てはまるものがなかったんです。
だからこそこのレザーも、かなり探してもらったとのこと。
一型にするか、と泣く泣く諦めかけていたところに見つかった、運命の一足ですね。
もちろん松島さんは既に2足とも購入していますが、
"Stovepipe"はよりエンジニア仕様にするため既にお直しへ旅立ち、
"Waxy Kansas"は目の前で履いています。
まだ数日しか経っていないのに、表面はオイルが馴染んで艶やかになり、
柔らかくなって超格好良い状態になっていました。
これから履き込んでいったらどうなるのか、、楽しみが詰まっています。
いやー楽しみでしかない。
そもそも他のウエスタンブーツを履いたことがないのでわかりませんが、
初めてだとしてもリオスの履き心地には感動するはずです。
でもなんでこんなに返りがいいのか。
そのカラクリは、作り方にありました。
松「ハンドソーンとグッドイヤーの違いよ。"リブテープ"がないんだよね。」
木「ど、どういうことでしょうか。。」
松「基本くらい勉強して聞いてこいや、、。グッドイヤーにはソールとウェルトの間にリブテープという布が入ってて、ハンドソーンには入っていないんだよね。純粋に考えてみてさ、底に対して直角に頑丈な布テープが入ってるって履き心地いいとおもう?」
木「良いわけないっす。」
松「テープで止められているということは接着剤も使ってるし、足に異物があるのと同じじゃん。返りが悪くなる原因にもなる。」
木「なるほど、ってことはリオスはハンドソーンなんですか?」
松「それは俺も最近気づいたんだけど、ハンドソーンの靴を履いたことがないと思ってたのよ。でもリオスについて調べて断面図とか眺めてたら、コルクも無いし、リブテープも無かったんだよね。厳密にはハンドソーンかって言われると、ハンドソーンの手縫部分を機械でやってるから違う名称だろうけど、殆ど同じだと思っていい。」
木「ハンドソーンの靴を既に履いていた、、と。」
松「そう、だからリオスが好きなんだよね。丸コバにしてるとか、半カラスにしてるとか、当たり前のようにやってるんだけど、そこにはアメリカらしい雑さがあって。それが格好良いし、それが履き心地の良さに変わってる。お直しに出せば一生履けるしね。」
木「そう考えると安いですよね。まあ、事実高いんですけど、クオリティに対して笑」
松「かっけーよなーーーーー、、、汗」
新しく手に入れたリオスを片手に撫で撫でしながら、そう口にする松島さん。
そこまで好きにさせるリオスって、松島さんにとって何なんですか?
純粋にそれが一番聞きたくなってきました。
木「松島さんにとって、Rios of Mercedesとは?笑」
松「足じゃん?俺の。」
木「足っすか?w」
松「何でかって言うとさ、スニーカー履いてたら星付きレストランに急にお呼ばれしても行けないじゃん?だからと言って毎日紳士靴を履くわけにもいかない。走るとか、忙しく動く時とかは不向きなわけよ。そうなるとリオスになる。」
木「履き替えなくていい、オールマイティなブーツだと言うことですね。では、足ということで締めさせていただきます。笑」
男臭いウエスタンブーツ。されど格式の高いブーツなのです。
改めて歴史とかから振り返ってみるとメリットしかない。
履き心地、シチュエーション、スタイリング、、
ここまで話を聞くと、今になってめちゃくちゃ後悔でしかありません。
もっと早く知っておきたかったです。
僕は内反小趾といって足の形がよろしくないので、革靴やブーツを履くとすぐに足というか骨が痛くなってしまうんです。
でも騙されたと思ってリオスを履いてみたら痛みやストレスがない。
全く違和感もないので、結局お気に入りの一足になりました。
嘘っぽいですけどね。あまりこういう話を鵜呑みにしすぎるのも良くないので。
けれど、ぜひ一度実感して欲しい。
嘘のような本当の話なので。
これは、ゼロベース、いや違うな。
マイナスから入ってしまった僕の心の叫びです。
騙された!と思って足を踏み入れてみてください。
週末は2024S/S cantateのイベントに加え、リオスの発売、
あとデニムジャケットと、ジーンズのサイズも補充し、
盛りだくさんでお待ちしております!
沼る準備はできていますか?
※Rios of Mercedes "Waxy kansas" / "Stovepipe"は、今週末7/8(土) 10:00より、店頭のみで発売します。
※7/9(日)の営業終了時に在庫のご用意ができましたら、オンラインストアにて発売します。
cliché 木下