もう一度、新しく着る。
服を買ったときに思い描いていた着方と、しばらく経ってからしたくなる着方は、意外と違うものです。
「あのとき買った服を、今ならこれと合わせたい」
「久しぶりに、あのジャケットを着てみようかな」
新しい服を迎える楽しさとは少し違いますが、
以前から持っている服を、今の自分でもう一度着直す。
これも、服好きならではの楽しみですね。
こんにちは。
clichéの冨岡です。
cantáteの洋服には、ひとつのシーズンだけで着方を決めてしまわない懐の深さがあるように思います。
買った当時とは違うパンツを合わせたり、以前は一枚で着ていたものをインナーとして使ったり。時間が経って、自分の好みやクローゼットの中身が変わることで、同じ服なのに新しい一面が見えてくることがあります。
今の気分に合わせて、何度でも着方を考え直せる。
流行だけに縛られないcantáteの洋服だからこそ、できることだと思います。
8月も終わり、9月に入りました。
まだ暑い日は続いていますが、朝晩の空気や陽の落ちる時間には、少しずつ季節の変化を感じるようになりました。僕も先週、少し肌寒い日があり、久しぶりに羽織りものを引っ張り出しました。
こうした季節の端境期は、何を着ようか迷う一方で、しばらく袖を通していなかった服を思い出す時期でもあります。
そこで今回は、現在clichéでご用意しているアイテムの中から、これからの季節にもう一度見ていただきたいものを、いくつかご紹介します。
今の洋服と合わせることで、以前とはまた違った着方が見つかるかもしれません。
まずは、WW Ⅱ Coverall Jacketから。



<cantáte>
"WW Ⅱ Coverall Jacket"
¥77,000 TAX IN
使用しているのは、10オンスのセルヴィッチデニム。
デニムと聞いて思い浮かべるような、ずっしりと厚みのある生地とは少し違います。比較的軽く、シャツの延長のような感覚で、日常の中にも取り入れやすい生地です。
身長172cmの僕は、BLACKでサイズ44、INDIGOでサイズ48を着用しています。
サイズ44は、肩まわりもきれいに収まるジャストサイズ。実際に袖を通すまでは「44だと小さくないかな。肩が張らないかな」と思っていましたが、窮屈さはまったくありませんでした。
一方のサイズ48は、身幅や肩まわりにゆとりが生まれ、少し力の抜けた着方になります。
すっきり着るなら44。ゆとりを持たせて羽織るなら48。
同じ身長、同じ服でも、選ぶサイズによって見え方は大きく変わります。


INDIGOは、インディゴで染めた糸とグレーの糸を掛け合わせています。そのため、単純な青一色ではなく、色の奥にわずかなくすみを感じる、奥行きのある見え方です。
着て、洗うことを繰り返すうちにインディゴが少しずつ落ち、グレーの糸との重なり方も変わっていく。
最初から完成された色ではなく、着る人の時間によって、その人だけの色へ育っていくINDIGOです。


一方のBLACKも、すべてを真っ黒に仕上げているわけではありません。黒い経糸の間からオフ白の緯糸が覗くことで、黒特有の重さが程よく和らいでいます。
BLACKのデニムジャケットやカバーオールに挑戦してみたいけれど、少し強く見えそうで迷っていた方にも、取り入れていただきやすい色だと思います。
どちらも、最初から表情が完成しているわけではありません。着て、洗うことを繰り返しながら、少しずつ色や風合いが変化していくデニムです。
厚手のデニムほど構えずに着られて、それでいて、デニムを育てていく楽しみはきちんと残っています。

形のもとになっているのは、第二次世界大戦頃に作られていたワークウェアです。
物資が限られていた時代、洋服の作りも必要以上に複雑なものではなく、役割を果たすために必要な要素だけを残した、簡潔なものへと変化していきました。
このカバーオールにも、そんな時代背景を感じさせる簡素なディテールが随所に見られます。
ただし、当時のものをそのまま再現したわけではありません。
簡素だからこそ際立つ形のよさは残しながら、いまの洋服と無理なく合わせられるように、シルエットや細部のバランスを整えています。

ベースにあるヴィンテージの空気感は残しながら、古い服の再現に留まらないよう、全体のバランスが整えられています。
ところどころに使われた色の異なるステッチも、デザインとして強く主張するものではありません。遠目には馴染み、近くで見たときにようやく気付くくらいの存在感です。
一見すると普通。でも、よく見ると少し違う。
そうした小さな違いの積み重ねが、このカバーオールならではの表情を作っています。

10オンスという軽さがあるため、今の時期ならシャツの上から気軽に羽織れます。もう少し気温が下がれば、中にスウェットやニットを重ねてもいい。
季節に着方を決めてもらうのではなく、その日の気温や服装に合わせながら、自分で着方を変えていける。
これから先、長い期間付き合えるカバーオールです。
続いては、WW Ⅱ Work Trousers。



<cantáte>
"WW Ⅱ Work Trousers"
¥60,500 TAX IN
WW Ⅱ Coverall Jacketと同じ、10オンスのセルヴィッチデニムを使用しています。
JacketとTrousersを揃えて着れば、ワークウェアらしいまとまりが生まれる。一方で、それぞれを普段の洋服に混ぜても、単品としてきちんと成り立ちます。
セットアップであることに縛られず、上下それぞれの着方を考えられるところも、この服の面白さです。
Trousersも、一見すると昔ながらのペインターパンツに見えるかもしれません。
ただ、近くで見ていくと、少しずつ普通とは違う部分が現れてきます。


ステッチがも重なる箇所があったり、本来なら内側に収められるはずの縫い目が、表に現れていたり。
きれいに整えることだけを考えれば、わざわざ選ぶ必要のない作りです。通常の縫製では隠れてしまう部分を、あえて外から見えるように仕立てています。
もちろん、偶然そうなったわけではありません。
一本だけに生まれた縫製の癖ではなく、すべてのTrousersに同じ仕様を取り入れることで、整いすぎない表情を意図して作っています。


一見すると縫製のズレや間違いにも見える部分を、隠すのではなく、そのまま一本のTrousersの表情として成立させています。
シルエットは股上を深く取り、裾まで大きく形を変えずに落ちるストレート。ヴィンテージのペインターパンツを思わせる佇まいはありながら、実際に古着を探しても、まったく同じものは出てきません。
馴染みのある形なのに、どこか普通ではない。
そのわずかな違和感まで含めて、このTrousersらしさなのだと思います。
続いて、もうひとつのセットアップをご紹介します。



<cantáte>
"Shade Jacket"
¥99,000 TAX IN
使用しているのは、コットンとヘンプで織り上げたウェザークロスです。
目を詰めてしっかりと織られているため、ヘンプらしい硬さはありながら、コットンが混ざることで必要以上のゴワつきはありません。肌に触れると、少し乾いたような質感があります。
厚みはあるのに、着てみると重たさを感じにくい。
密度が高く、風も通しにくいため、暖かい時期だけの生地ではありません。季節が移り変わり、少しずつ気温が下がってからも、長く着続けられる素材です。


もちろん、この生地の質感が、最初の状態のままずっと続くわけではありません。
何度も着ていくうちに、ヘンプ特有の硬さが少しずつほどけ、身体に馴染みながら柔らかくなっていきます。
シワやアタリも含めて、着てきた時間が、そのまま生地の表情に残っていく。
新品のときだけではなく、その先の変化まで楽しめる生地です。


「ジャケット」と聞くと、どうしても少し気を遣う洋服を想像してしまいます。
シワにならないように扱い、汚れたらその都度クリーニングへ出す。テーラードジャケットなら、それも自然な付き合い方だと思います。
ただ、このジャケットは、そうした扱いとは少し離れたところにあります。
もとを辿れば、ミリタリーウェア。その雰囲気を強く押し出すのではなく、普段の洋服として自然に着られる形へ整えています。
自宅で洗い、シワが入り、生地が少しずつ柔らかくなっていく。
その変化を整え直すのではなく、一着の表情として、そのまま受け入れながら着ていけるジャケットです。

すでに製品洗いを施しているため、新品の段階から、縫い目のまわりには細かな凹凸が現れています。
さらに、背中をはじめとする主要な縫製部分には巻き縫いを採用。縫い代を重ねて縫い合わせているため、着用と洗濯を繰り返すほど、縫い目のまわりにパッカリングが生まれ、生地のシワも深くなっていきます。
着るほどに、服の輪郭が少しずつ浮かび上がってくる。
新品の状態ですでに表情があり、そこからさらに変化を重ねていく作りです。

内側には、コットンとレーヨンを組み合わせた裏地を使用しています。
表地は乾いた質感があり、見た目にもタフですが、袖を通すと裏地が滑りをよくしてくれるため、中にシャツやニットを重ねても引っ掛かりが少ない。
外側の力強さに対して、内側ではきちんと着やすさを支えています。

形は、着丈を少し長めに取った、ゆとりのあるボックスシルエット。
カバーオールのような気軽さがありながら、ワークウェアほど粗野には見えません。分量はありつつも、ジャケットとしての輪郭はきちんと残されています。
丁寧に扱い続けることだけが、この服との正しい付き合い方ではありません。
シワになったら、そのまま着る。汚れたら、自宅で洗う。
むしろ、そのくらい気軽に扱いながら生まれる表情が似合うジャケットだと思います。
セットアップとして合わせられる最後の一本は、Shade M51 Cargo Pants。



<cantáte>
"Shade M51 Cargo Pants"
¥71,500 TAX IN
ベースにあるのは、数あるミリタリーパンツの中でも馴染み深いM-51です。
両脇の大きなカーゴポケットをはじめ、もとのM-51が持つ特徴的なディテールは残しながら、シルエットには思い切った分量を持たせています。
見慣れたミリタリーパンツを、そのまま再現したわけではありません。
M-51らしさをきちんと感じさせながら、穿いたときの見え方は大きく変えています。


細く、きれいに収めて穿くパンツではありません。
しっかりと太さを出し、裾が靴の上に少し余るくらいのバランスで穿く。
その分量があるからこそ、シワやアタリが入っても、それがだらしなく見えず、このパンツらしい表情になります。
少しくらいラフに扱う方が、むしろ格好よく見えるパンツです。


特徴的なのが、カーゴポケットから伸びるテープです。
もともとは、ポケットに入れた荷物を固定し、動いたときに中身が暴れないようにするためのもの。緊急時には、負傷した兵士の止血帯として転用されたともいわれています。
もちろん、今の日常生活で、その機能を求められることはほとんどありません。それでも、あえて取り除かずに残しています。
かつて必要に迫られて付けられた機能が、時代を経た今では、このパンツの見た目を特徴づけるディテールになる。
用途は変わっても、その背景ごと残すことで、単なる飾りとは違う存在感が生まれています。

テープはポケットの中へしまってもいいですし、そのまま外へ垂らして穿くこともできます。見せるか隠すかで、パンツの印象も少し変わります。
同素材のShade Jacketと合わせれば、セットアップとしてまとまります。
ただ、このTrousersには、一本でスタイリングを支えられるだけの太さとボリュームがある。
上をシンプルにしても、パンツだけで全体のバランスがきちんと決まります。

Jacketと同じように、穿いて、洗うことを繰り返すほど、生地は少しずつ柔らかくなり、縫い目のまわりにはアタリや凹凸が現れてきます。
最初から完成された表情を持つというより、穿く人の動きや過ごした時間によって、少しずつその人の一本へと育っていく。
変化していく過程まで含めて穿けるカーゴパンツです。
ここまで三つのセットアップをご紹介してきましたが、実際に着ようとしたとき、意外と迷うのがインナーではないでしょうか。
シャツでは少し硬い。かといって、Tシャツでは少し砕けすぎる。
その間をちょうどよく埋めてくれるのが、サーマルです。

<cantáte>
" Thermal L/S Shirt "
COL : GRAY , MINT , ECRU , OFF WHITE
¥29,700 TAX IN
サーマル特有の凹凸が、シャツやTシャツとはまた違った表情を作ります。
セットアップのきちんとした雰囲気は残しながら、その硬さだけを少し和らげてくれる。
カジュアルには見せたいけれど、砕けすぎたくない。そんなときに、ちょうどいいインナーです。



素材には、アメリカ産の超長綿であるスーピマコットンを100%使用しています。
一般的なサーマルでは、伸縮性を補うために化学繊維を混ぜることもありますが、こちらはコットンだけ。柔らかな肌触りを保ちながら、身体の動きにきちんとついてくる伸縮性を持たせています。
素肌に触れるものだからこそ、コットンだけで、気持ちよく着られること。
インナーとして長い時間着ていても、余計なストレスを感じにくいサーマルです。


縫製には、縫い代のごろつきを抑えるフラットシーマを採用しています。縫い目を平らに仕上げることで、直接肌に触れたときの引っ掛かりや違和感を減らしています。
着丈は少し長めに取り、裾はラウンドした形に。タックインしたときにも裾が収まりやすく、動いても外へ出にくい設計です。
一枚で着るためだけではなく、重ねたときの着心地や収まり方まで考えられています。
シャツほど硬くならず、Tシャツほど砕けすぎない。セットアップの内側に、ちょうどいいバランスを作ってくれるサーマルです。

シャツほどかしこまらず、Tシャツとも少し違う。
いつものセットアップを少し違うバランスで着たいとき、サーマルという選択肢があってもいいと思います。
ここまで、いくつかのアイテムをご紹介してきました。
新しい服が届けば、やっぱり気になります。僕も店頭に新作が並ぶたびに、自然とそちらへ目が向きます。
でも、新しい服が増えることで、以前から持っている服の見え方まで変わることがあります。
新しく買ったパンツに、前のシーズンのジャケットを合わせてみる。以前は一枚で着ていたものを、今度はインナーとして使ってみる。
新しい一着が、少し前の一着を、もう一度新しく見せてくれる。
そうやって考えると、洋服を選ぶ楽しみは、今シーズンのものだけに限られません。
いつ作られた服なのかよりも、今の自分がどう着たいのか。その方が、ずっと大切なのだと思います。
これからも、新作の入荷は続きます。
新しいcantáteと合わせながら、少し前のcantáteにも、改めて目を向けてみてください。
今だからしたくなる着方が、きっと見つかるはずです。
cliché 冨岡
