本バスの毛芯、熟練のアイロンワークによるくせつけ、「南京玉縁」「揉玉」「松葉閂」と呼ばれる今では失われてしまった手仕事の手法……。

cantate のジャケットには多くの職人技が込められています。

ラペルに入った「ハ刺し」も一針一針時間をかけて行い、美しいラペルの返りを生み出します。平面の布を身体に沿うようにするために、ほとんどの工程をフルオーダーで依頼したスーツと同じ手法を用いてcantate のジャケットはつくられます。こうした丁寧な仕事は、すべて生地の風合いを損なわないため、着る人に完璧にフィットするジャケット、トラウザーズをつくるためです。

このスーツに採用した生地はSuper140’s（16.5mic）の80番単糸を使ったもの。素材にしたのは国内で厳選して紡績されたスーパーファインメリノ。細番手で原料がファインメリノということもあり、生機の状態でもしっかりと織り上げています。

さらに「ロイヤルフランネル」と呼ばれる今シーズンのcantate のウール素材同様の縮絨方法で生地を仕上げているので、カシミヤのようなとろみ、ぬるみ、暖かみがありながら、適度なハリコシのある生地に仕上がっています。

トラウザーズは、ウエストの両サイドに尾錠を付け、サスペンダーでウエストを固定する昔ながらのディテール。フロントにプリーツを入れ、シルエットは裾に向かって程よくテーパードして美脚効果も高い、裾幅18cmです。

ベルトを付ける必要のないシンプルな意匠は、着こなしにスタイリッシュな印象を与えてくれます。

尾錠のバックルはオリジナルで作ったもの。

愛用していたエンジニアブーツのバックルから型をとったダイキャスト製。

バックルの凝った形状が潔いデザインにキャラクターを与えてくれます。