今は、新たなスタンダード。

こういう服が、欲しかったんです。
「制服としてのカバーオール」
袖を通せば、季節が変わる。
「スウェットは、かつて“高級品”だった。」
こんにちは。
clichéの石橋です。
先日、CLASSからAW最後の1型が届きました。
ひと言でいえば、“自立するニット”。
硬さのあるパリっとした質感で、リネンのようなドライな風合いが特徴です。
ただ──そんなスペック以上に、気になるポイントがいくつかあります。
裾と袖口の切り替え?
摘まれたような肩の出っ張り?
<CLASS>
“CCFA19UNI A 3G PLAIN STITCH SWEATER”
COL : BLACK
SIZE : F
¥145,200- TAX IN
裾と袖口についたフリルのようなもの。
よく見ると、細い糸でざっくりと簡単に縫い止められているだけ。
それもそのはず──これはニットを編み立てる際、編み端にできる“不要な部分”。
つまり、本来は取り除くはずのものを、あえてデザインとして残しているんです。
未完成の要素をそのまま造形に落とし込み、
それでいて一着の服として完成された格好良さを持つ。
まさにCLASSらしい創造性を感じる仕上がり。
誰もやっていないこと。
というより、「不要な箇所は取り除く」──そんな当たり前の工程に、疑問を投げかけた発想です。
そして思い出してほしいのが、今季のCLASSのテーマ、“KARMAN LINE”。
大気圏と宇宙空間の間にある領域のことを指します。
この言葉そのものには、ファッションと直接的な関わりはありません。
けれど、解釈次第で見えてくるものがある。
僕なりに噛み砕くと──
・大気圏と宇宙のあいだ。曖昧で定まらない領域に、服を通して踏み込むこと。
・これまで積み重ねてきた常識を一度手放し、“まだ見ぬ体験”を楽しむこと。
おそらく、そんなメッセージが込められているのだと思います。
それを踏まえてラインナップを見直すと、
一見すると馴染みのないデザインも、“腑に落ちる”んです。
たとえば、この一着のように──。
ボタンダウンのシャツ。
シャツなのにシャークスキン。
というか、すごい大きいよね?
シャツなのに裏地?
<CLASS>
“CCFA02UNI B LYRIA SHARKSKIN SHIRT COAT”
COL : GRAY
SIZE : 2
¥143,000- TAX IN
めちゃくちゃでかい。
形は紛れもなくシャツ。
だけど、シャツとは呼べないほどのサイズ感。
どちらかというとシャツジャケット、いや、もはやコートと言ってもいい。
裏地にはコットンネルを携え、見た目以上にずっしりとした着心地と確かな暖かさ。
シャツやジャケットの上からはもちろん、アウターの上にだって羽織れる。
まさに、常識を覆す一着です。
まるでバックポケットが前に迷い込んだかのような配置。
断ち切りの裾。
<CLASS>
“CCFA01UNI A LIGHT OZ RIGID DENIM PANTS”
COL : INDIGO
SIZE : 2
¥44,000- TAX IN
洗いが入っていない、生デニムによる、パキッとした特異なシルエット。
フロントの低い位置に、まるでバックポケットのように取り付けられたポケット。
ベルトループやフロントジップはなく、サイドボタンでサイズを調整する仕様です。
サイドに見える“ポケットのようなパーツ”は、セーラーパンツを思わせるサイドウエスト開き。
実際にはポケットではなく、ウエストの開閉と調整を兼ねたディテールです。
見たことのない仕様やラインでありながら、パンツとしてのバランスが絶妙。
奇抜に見えそうで、そうはならない。
曖昧さの中に、確かな説得力がある一本です。
<CLASS>
”CCFA09UNI A LOOPWHEEL HOODIE”
COL : BLACK
SIZE : 3
¥104,500- TAX IN
一見、普通のパーカー。
お店のラックにかかっていたら、
「なんか調子がよさそうなパーカーだな」と、つい手に取りたくなるような佇まい。
でも、手に取った瞬間に全く“普通”ではないことに気づくはず。
吊り編み機で超度詰めに編み上げた生地は、パーカーでは体験したことのない厚みと重量感を持っています。
改めて少し離れて見てみると──
ポケット、リブ、フード、すべてがCLASSのバランス。
触れて初めて知るその“異質な質感”を意識した瞬間、
もう最初に見た時とはまるで別物に見えてくる。
そして気づいた時には、きっともう「欲しい」と思ってしまっている。
CREDIT
m’s braque “TUCKED BAGGY PANTS”
CREDIT
CREDIT
m’s braque “W4B COMFORT LOOSEN JACKET”
CREDIT
CLASSと聞くと、シンプルな服を探している人は少し身構えてしまうかもしれません。
確かに、アートピースのように難解なアイテムも多く、
“ベーシック”と呼ぶには少し違うかもしれない。
もちろん今季も例外ではなく、どこか違和感を覚える独特の空気を纏った服が並びます。
けれど不思議と、それがすっと馴染む。
新たなスタンダードとして、自然に受け入れてしまう。
きっとそれは、軸にあるのが僕たちの日常や、どこかで見たことのある“身近な形”だから。
身近な常識を、ほんの少しだけ壊してくれる。そんな服。
とはいえ、あまり難しく考えなくて大丈夫です。
「常識がどう」とか、「曖昧な境界がどう」とかは、
素直に“格好が良い”と感じたその先にある話です。
cliché 石橋