イスラエルの洋服です。
こんにちは。
clichéの木下です。
イスラエル・エルサレムより新作が到着しました。
先日ご紹介したように、地域性が強く反映された無二なブランドです。
- YIFAT FINKELSHTEIN -
僕の好きなHED MAYNERのアシスタントを経て、ブランドを設立したという、
女性デザイナー "Yifat Finkelshtein"が手がけるメンズウェアブランド。
イスラエル・エルサレムという街で作ってることもあって、地域性が反映されている。
ある方によっては派手、派手ではないと二極化するかと思いますが、
解放感を感じる洋服達です。
イスラエル。正直馴染みのない国なので、背景って言っても、学校の歴史で並んだくらいのもの。
聖地エルサレム、ワードだけはなんとなく覚えてる。
社会・歴史は得意だったけど、文章を全て言葉としてそのまま暗記してテストに臨んでいたので、
今は、頭から綺麗に無くなってしまっている。
せっかくなので、ブログを書くにあたって色々と調べてみました。
まずはブランドの概要から。
石畳の建物、人間の多様性、崇高さと俗悪さの間に存在するエルサレムの街の「精神」と「両極性」は、
この特別な街を拠点とするブランドの源であり、インスピレーションの源であると言います。
高い基準の素材や仕立て、天然素材を使用することなど、
細心の注意をはらった生産を行うことで、長く愛用できる洋服を作ることがテーマ。
今季も展開しているユニークなテキスタイルは、「イムラアソシエーション」と呼ばれる組織に所属する、危険にさらされている若い女性たちによって作られ、
若手ブランドである彼女らは、そうして地域や地域社会に対して、
より責任を持ち、スローファッションの価値観に関わりを持っています。
そうして今季入荷してきたのがこちらの3型。
SHIMI、JAMIL、PAZATZKA。
人名。多分だけど。
3型全てがワンサイズで、着る人によってはオーバーサイズ。
パンツはウエストのゴムがきつめなので安心です。
型数は少ないですが、シャツやカットソー、パンツも数型あり、
それこそバッグやアクセサリーもラインナップとして存在します。
ご用意したのは、前回から引き続き展開されている、カラーストライプを使用したアイテム。
世界でも数着限定のリミテッドアイテム。
それぞれ、4、5、9着のうち数着がclichéに。
ブランドのイメージを伝える上では一番分かりやすく、
格好が良いので同素材で全型ご用意しました。
手染めのデッドストック生地を、手作業で一枚ずつ繋ぎ合わせていて、
ストライプ部分はパッカリングも生まれ、独特の表情に仕上がっています。
着るたびに味も出てくるのも楽しみであり、茶色のツイル部分もアタリが出やすい。
一面で異なる経年変化を楽しめる、緩急がどうなっていくのかの楽しみな洋服。
ジップブルゾンが2型。
スポーツジャケットのようなジップアップで、襟は低め、袖・裾は太ピッチのリブ使い。
同じように見えるかもしれませんが、形やストライプ配置、配色も違います。
SHIMIはセットインスリーブ。
JAMILは、袖端から反対の袖まで約160cmほどあるような、
カーブが直線的なドルマンスリーブ。まるでモモンガです。
手を下ろしたフォルムはパッと見同じ。
むしろドルマンスリーブと感じさせないくらい、収まりが良いです。
パンツはウエストのきつめのゴムが入ったイージーパンツ。
紐はありません。
裾にかけて丸みを帯びる立体的な仕上がりで、175cmの僕が穿くとクロップド丈になります。
腰穿きすれば、フルレングスでも着用可能です。
派手な柄パンツという認識ですが、コートの下やシンプルなトップスとの合わせなどなど、
イメージが込み上げてくるパンツではないでしょうか。
CREDIT
cantate "T Shirt" ¥19,800 (TAX IN)
refomed "AZEAMI THERMAL PANTS" ¥24,200 (TAX IN)
勿論オーバーサイズですが、ワンサイズなのでどんなもんかと思いきや、
意外とコンパクト。あくまで意外と、です。
立ち襟でジップアップ、正直インナーを適当にしてもいい。
パッと外に出られる楽チンブルゾンの役割でもいいと思います。
ベーシックなパンツがあれば、とりあえずこれで完結。
なにそれどこの!?そんな目線を独り占めに。
CREDIT
cantate "Moleskin Trousers" ¥60,500 (TAX IN)
nine tailor "Wisteria Watch" ¥7,150 (TAX IN)
腕を上げていなければ、シルエットは殆ど"SHIMI"と同じです。
この強烈なドルマンは、見た目もさることながら、
袖底がもたつくことなくインナーを沢山着込めるところが魅力的。
例えば分厚いニット、超オーバーサイズのパーカー、等。
これ、コートのインナーに着れますかね...?
そんな悩みをよく耳にしますが、見なくてもわかる。どれも問題ないです。
裏もしっかり付いてるので、ある程度アウターとしても機能しそう。
今時期には半袖にバサっと羽織ったら、体温調節がし易いのでは。
CREDIT
refomed "NEP MERINO WOOL SWEATER" ¥41,800 (TAX IN)
cantate "The Band Collar Shirt" ¥48,400 (TAX IN)
ブーツに合わせたい丈感。
見る角度によってストライプの量が異なるのも魅力的です。
どのアイテムにも言えますが、これだけ色が多く使われていると、
トップスにどんな色を持ってきてもある程度拾えてしまうのも嬉しい。
イスラエルには白のバンドカラーのイメージがあったので、
ここぞと言わんばかりに合わせてみました。
やはりバッチグー。
それはそうと、ワクワクしながら開けた納品には直筆入り。
こういうのはすごく嬉しい。
僕はイスラエルに対する知識はない。
聞いたことある、イメージがやんわりできるくらいなので、ざっと調べてみました。
イスラエル・エルサレムは、聖地・世界最古のとしと言われ、ユダヤ教をはじめとする宗教の聖市。
ファッションはというと、無信仰の男性はカジュアルなダウンにデニム、
スニーカーといったカジュアルなスタイルを好むが、女性は肌を見せないスタイルが主流となっている。
そして既婚者になると顔を隠す。
理由は、別の男性に取られないためなんだとか。
ユダヤ教徒の正統派と呼ばれる男性のスタイルは真っ黒に身を包み、頭にはツバの広いシルクハットです。
64年の間に4度もの戦争を経験しているイスラエル。
衣食住のうち、「衣」よりも「食・住」に重点をおき、「衣」に対しては二の次。
シンプルで丈夫、手入れがし易いものが最も良いとされているので、
隣町の、ファッションウィークなども行われている"テルアビブ"では、
海外のファストファッションが好まれ、ユ○クロはデザイン品質共に人気最上位。
肌を見せない宗教上の理由、加えて高い気候でもあるので、
中央都市では動き易いジャージを始め、アクティブで涼しいファッションが好まれているそうです。
それを加味して考えると、このYIFATの洋服はイメージにないクリエーション。
海外ファッションからの影響、女性の社会進出。
そしてYIFATは女性デザイナーであり、メンズへのアプローチという観点から、
中性的なコレクションになっているのは言うまでもない。
生地や洋服の名前からも感じる、自国、住んでいる地域、文化や習慣への愛、
そんな彼女らにしか作り得ないエッセンスが吹き込まれた洋服たち。
男女問わず好きな洋服を、好きに着る。
都市空間と彼女らが暮らす複雑な状況下で、自由とアイデンティティを讃えているようです。
今季のテーマは"FORGOTTEN DREAM"。
自分達のルーツが断片的に浮かび上がり、その記憶のかけらをつなぎ合わすようイメージして作られています。
帰属意識に対し、異邦感もある。
そんな入り混じった感情が今回のコレクションの一端を担っている、
伝統的な文化と現在の文化を、うまく掛け合わせた洋服たち。
これらの洋服は開放的で、潔いなと思うくらい癖が強いですが、現地の世界観にも触れていただけると思います。
例え国に対して馴染みがなくとも、こうして興味をそそられ、手元にある。
好みは大きく分かれると思いますが、良いなと思ったら一度手に取ってみてください。
僕が展示会で初めて見た時に思った感想は、
「なにこれかっけえ!」という安直なものでしたが、、
かっこよさは、僕が保証します。
cliché 木下