良いシャツ。
良いシャツの定義ってなんだろう。
シャツが欲しいと思った時に、要点が有りすぎて頭を抱えました。
白シャツは無数、ストライプシャツも幾千通りある。
探してピンと来たものを選ぶのか、身近で、通っているお店にあるものや、
好きなスタッフ、インフルエンサーが紹介してくれたものを買うのか...。
まあでも結果的に納得できたらそれで良くて、
自身のライフスタイルに合っていれば、それ以上を求めようなんて思わないんですけどね。
こんにちは。
clichéの木下です。
ある人にとってはシャルべやフライ、
ある人にとってはエルメスやマルジェラ、
一方ファストファッションブランドが良いという人もいて、
人それぞれが選ぶ基準やスタイルも違うため意見が割れますが、
生地なのか作りなのか、あるいはブランドネームがいいのか、
もしくは流行りなのか。
ちなみに僕はHED MAYNERのシャツやE.TAUTZのシャツ、
Ralph LaurenやBROOKS BROTHERSのシャツが好き。(見事に全てがインポート)
全部オーバーサイズなので、どっちかっていうと”調子がいいシャツ”枠にあたります。
もちろん縫製が綺麗か、生地がいいのかはある程度気にしていますが、
正直見た目が良ければそれ以外は大したことではなく、ぱっと見でおしゃれであれば良いのです。
また、日々のモチベーションのこともあるので、最重要事項は好きなブランドかどうかで、
デザイナーの人が好きとか、好きなスタッフさんがお勧めしてくれた!とかも同じです。
安くてコスパがいい。
消耗品のように適当に使って、買い換えればいいし要らなければ捨てればいい。
これも一つの基準。でも僕たちはそれだとテンションが上がらないので、
単純に好まない買い方です。
さて。結局のところ、良いシャツってなんなのだろうか。
なかなか話が進みませんね。
シャツには2つあると思っていて、前述にあるような”調子のいいシャツ”と、
今回の議題となっている”良いシャツ”。
シャツは日常生活に欠かせないもの。それがどんな過ごし方であれ、
おしゃれとか関係なく持っておかなければならない、スーツとセットになるシャツ。
仕事でも使うし、もちろん日常的にも着る。
先週から急に暖かくなったので、外を見渡せば半袖も多かったですが、
ジャケットを脱ぎ捨てて、シャツに移行しようなんて方も少なくないでしょう。
そんなタイミングでご紹介したい、僕が思う”良いシャツ”。
cantate
¥48,400 (TAX IN)
ネクタイを締めるには襟が必要で、首周りのサイズも合わせなければネクタイを締めても綺麗に決まりません。
時代背景や流行…時には襟の形や首周りのサイズに流行はあるかもしれませんが、
良いシャツは老若男女、誰が見ても何の変哲もなく、
普遍的なスタンダードなシャツだと認識できることが大前提だと思います。
その大前提とは羽根襟、台襟があって、貝のボタンがあって、袖にはカフスがある。
縫い方はロック始末ではなく、折り伏せ始末でなくちゃいけない。
誰もが想像できるYシャツってやつです。
つまり大きいものやバンドカラーなどは持っていても、いつか困る。
そのいつかの時にレギュラーカラーシャツを買い直さなければいけなくなる。
良いシャツを探すにあたって個性は必要なく、まずは見た目から入り、
そこから着心地や生地感、手入れのしやすさやアイロンのかけやすさ、動きやすさや肩の可動域がどうかを見極める。
見極めるとはいっても限界があるので、最終的に誰かに聞く他ないですが…
着ている本人はそこまで知る必要がなくとも、そう感じさせないくらいに緻密なディテールが詰まっていたら理想的ですね。
ほら、ドラマとかで「この俳優、演技上手だね。」と、思ったとするじゃないですか。
”演技が上手”と表現した時点で、あくまでそれは演技として捉えてしまっているので、
そう思うことすらもなく自然に、現実のように観て受け入れられる、
この人って本当はこんな人格だったんだ、マジで嫌いになりそう。みたいな次元が本物。
いつしか、ふとテレビを見ながらボソッとこぼした時に言われた記憶があります。(誰だったかな)
洋服で言うとミリ単位で、気づかれずに終わってしまうくらいの拘りにこそ、
モノ作りに対する熱量を感じてしまうというものです。
評価され辛いですけどね!でも、気づく人はしっかりと見て感じてくれるはず。
cantate
¥47,300 (TAX IN)
対する新型のスキッパーシャツ。
これは今回の本題とは少しズレてしまいますが、これもまた素晴らしいシャツです。
生地や作りも同じなので、一緒にご紹介させてください。
レギュラーカラーシャツを選ぶなら、できるだけサイズは基本に忠実にいきたい。
スキッパーはラフに着るものなので、サイズをあげるのも大いに結構。
むしろ大歓迎という感じです。
夏場にも着られるリゾート感を味わえる一枚で、普通のシャツに比べると、
インナーにした時の軽やかさや、セーターやスウェットとレイヤードした時の襟の開き方が違います。
そんな罪深きシャツ。
すでに結構動きが良くてサイズ欠け気味なのでお早めに…。
cantateのシャツはずっと裾が長めのドレスシャツ仕様でしたが、
1年前からボックスカットにマイナーチェンジ。
スキッパーシャツは、緩やかにラウンドした仕様です。
生地は変わらずGIZAコットンを使用し、打ち込みを多くすることでハリとコシがあるのが特徴的。
ハリとコシがあるといってもパリッとした硬い印象ではなく、触り心地は非常にオイリーでしっとり。
見た目に反して柔らかいなんて、デイリーに使うシャツとして最高ですね。
打ち込みの多い生地は、ガンガン洗っても毛羽立ちし辛く、着心地も長続き。
できれば前立てと襟、袖はアイロンをかけて着たいところですが、
洗いざらしでも着られるとなると、毎日着たいと自然に手が伸びてしまいます。
(うっとりとしてしまう端正な佇まい...)
どれだけ美味しい親子丼(僕の大好物)でも、見た目が美しくなければ食べたい気持ちは浮かばない。
洋服も同じく着る前のツラの良さが大事なのは当然のこと。
まずは値段を見る前に自然と、試着してみたくなるものであるべきなのですがこのシャツ、
触ってみたいとか着てみたいとか、とりあえず超そそられますよね。
これは前述にもあるような見逃しそうなディテールがあるからこそですが、
高級シャツの目安にもなる針数(運針数)は超細かく、繊細な雰囲気が見てとれる。
カフスと袖のステッチだって、縫ってる最中にちょっと驚かされたらズレて、
台無しになってしまいそうなくらいギリギリまで攻めまくり。
こんなことは、作っている人と売っている人さえ知っていれば良いので、
買う側として、「すげ〜細けぇ〜っ」と、思っていただければ大丈夫ですが、ふとした時にでも、見てみてください。
改めて考えると、なんだか気が遠くなりそうになると思います。
着た後、着用者がどう動くのか、
ということまで考えられている点も魅力で、着ていて楽なのはそのおかげ。
カフスは手首に沿うようにカーブさせ、曲げたときにもシワが出にくいようになっていて、
ジャケットの袖から出てきた時も美しく見えるよう、ボタンの位置も手首側に配置になっています。
襟、カフスには今まで同様にフラシ芯を使用。
初めは硬さがありますが、洗って着ていくと馴染んで柔らかくなっていき、
パリッと立体感があるため、第一印象にも大きな影響を及ぼします。
一般的には接着芯が使われますが、フラシ芯は主にドレスシャツに用いられるもので、
ウラ・オモテの生地の間にある芯が独立して接着していないもののことを指します。
そうすることで生地本来の風合いが保たれて見た目がいい。ただめちゃくちゃ技術が必要です。
また、レギュラーカラーは従来のように袖口にはタック。
スキッパーはギャザーにすることで、ドレッシーかつリラックスした印象を助長しています。
同じ類いのシャツでも、しっかりと差別化が図られているので、
ON用のシャツ、OFF用のシャツとしても選びたいですね。
でも、ON用のあたる"The Shirt"は、カジュアルダウンされていることで、ともに活躍してくれる万能かつ最強の完成度...。
ざっくりとボタンを開けて羽織るだけでも良いし、雑に着る楽しみ方もあります。
それはもう、良いシャツと言わされてしまうほどの中身の詰まり方。
第一にシンプルであれば、共通して普段使いもできるかもしれませんし、
どこまで拘るかという個人の匙加減だけではありますが、紐解いていくと、どこをとっても100%。
僕はこのシャツに対して、どのフィールドでも最高のパフォーマンスを発揮してくれる属性のないシャツ、
といったイメージを持っています。
良いシャツである上に、懐の広さを持ったcantateのシャツ。
時にはビシッと決めて。時にはボタンを3つくらい開けて着る。
何度も着て、何度も洗って、何度も接客して試していますが、マイナスポイントが出てこない。
価格もそれなりですが、第一印象とあらゆる要素を踏まえても、
特に勘繰ることもなく素直な適正価格。
僕にとっても、おそらく皆さんにとっても、良いシャツの条件を満たしたシャツなのではないかと思うのです。
そして、良いシャツというのは怖い。
着始めていくと、もっと多くの選択肢を与えてきます。
ジャケットが欲しい、パンツも欲しい、うああぁ靴も欲しい。
あ...ネクタイも....欲しいよなぁ...。
それではまた。つづく。
cliché 木下