スウェットは、高級品だった。
こんにちは。
clichéの木下です。
雨続きで憂鬱、洗濯もできければ自転車にも乗れない。
事務所からコンビニ行くにも少し遠いので、自転車がなければ行く気が起きない。
今日も昼メシは抜きだな、、、
憂鬱なので、cantateのスウェットが良いっていう話がしたい。
スウェットパンツは早々に完売してしまったけれど、トップスにも目を向けてほしい。
パンツを購入した方は、既にこの良さを体感していることかと思います。
スウェットに対する信頼度ってあまり無い、別に楽できれば良いし。
中学時代から上下スウェットなんて当たり前にみんなが着ていた。
友人宅に行くときも、寝巻きも上下スウェット。
そういえばバスケ部だったので、学校名がプリントされたスウェットも上下着てたなあ。
化学繊維が入ってるから毛玉はたくさんできるし穴も開く、それでいて伸びまくる。
そんな感じで、大して良いものではなかったし、正直そこまで多くを求めてこなかった訳ですが、
今みたいにスウェットアイテムを中心にスタイリングを組んだりする中で、あちゃーっ、、てなることが多くなってきました。
残念、しょうがない、そうやって寝巻きに降格していく。
買い足し買い足し、その頻度も高い。
いつの間にか着て外に出られないスウェットたちが溢れていた。
そうやって消費を繰り返したいわけでもない。
形は一旦後回し。
スウェットとフーディーの2型、グレーは継続、クリームが新色で登場です。
何の変哲も無い、クルーネックとフーディー。
でもそこには多くの意味や細かなディテールが込められていて、見る人が見たら
あ、これ良いっすね。もしくは、いいね。
なんて言うでしょう。
でもそれの何が良いの?って聞かれて説明できなければ、何の意味もない。
これ好きなんすよー!って言われても、説明ができなければこちらには全くその温度感も伝わってこない。
着てわかることも多いでしょうが、それ以外のディテール、全てにおいて。
多分世の中にたくさんあるし、説明できる人はいる。
そしてそんなことを言っている僕も、先ほど鼻をぽきっと折られたばかり。
首元のガゼット、脇下のリバースウィーブ。
首元は汗止め、リバース部分は縮み防止。
でもかなり浅はかな答え。松島さんも呆れるほどに。
なので、覚えるためにもしっかりと書いていきたいと思う。
代表的なリバースウィーブ、洋服が好きなら誰しも聞いたことはあるでしょう。
当たり前のようにその言葉を使っていたし、見てきた。けどそこを掘り下げたことがなかったんです。
championの古着、これはお持ちの方は多い事かと思います。
スウェット、遡るとスポーツウェア、ようはジャージのようなもの。
先ほど書いたように僕はバスケ部だったので、練習着もスウェット。
ヘビーに動くしとんでもない量の汗をかく。
だからこそ洗濯頻度も高い、おそらく洗濯係は後輩の子に任されるのか、
すぐ使わなきゃいけないからバンバン洗って、乾かすために乾燥機へ、ボン。
そこでリバースウィーブがなかったら、縮んで着られなくなります。
過去こう言った理由でクレームも殺到したんだろうか。
そこで開発されたのがこの製法です。
身頃の地の目は横、袖は縦に対して脇下はよく伸びるフライスリブ。
過去に、身頃と脇下が切り替わっている洋服があり、リバースウィーブか、
ってぱっと見で認識していましたが、まさかの身頃と袖が同じ地の目だったことがありました、、リバースウィーブ風っす。
デザインなのでそれはそれですが、意味や成り立ちを理解していないことで、同じだと認識してしまった人もいるはず、非常に恥ずかしい。
だから僕ら達が伝える必要があるのです。
リバースとして切り替える事で少し縮んでも伸ばして、ある程度元に戻すことも出来る。首下のガゼットも同じで、キュンキュンに首が詰まってしまって着られなくなってしまわないように工夫されているわけです。
汗止めに関しては、その逆三角の下の角、を伝って胸元に落ちていくようになっているそう。
たとえ仮説だったとしても、ストーリーとともに考えていくだけで、
全く以って、自分が無知だったことに気付かさせられます。
加えてこのバインダーネック。
本来縦に編み地が出ているものが主流ながら、よく見ると斜めに。
気にしたことがないからそこに目もいかない、
そういうことも無くしていくくらい洋服を紐解いていった方が圧倒的に楽しいです。
その上で袖を通すと、良い、着やすい。
こうこう、こうだから。今まで話した理由が付随してくる。
cantate松島流の工夫。良い服ばかりが生み出されていく。
松島さんがよくいう “全部理由あるよ、意味がなければ無くてもいいじゃん、作った人の気持ちに立ってみなよ。”
まあ見た目良ければ全て良し、なのであればムダ話ですけどねw
勿論知っている方は飛ばしてください、下に着画があります!
今日は長くなりそうだ、、、、
続いては吊り編みについて。
このスウェットは吊り編み機で編んだ裏毛、他にはシンカー編み機というものが存在します。
吊り編みに関しては、
・風合いが良い
・柔らかい(空気が入っているかのように弾力がある)
・耐久性が高い、長持ちする
がメインとなるメリット。
でもぱっと見はシンカー編みのものと見分けがつかないこともあるそうです。
使って、着て、何度か洗っていくことで実感でき、上記のメリットに雲泥の差が出てくる。
経験でわかりやすいのは、他のスウェットは洗っていくとどんどん硬くなっていく。けどcantateの(吊り編み)スウェットは、洗っても同じくふんわり。
ゴワゴワせず、ようはノンストレスでもある。
吊り編み機は、今現存するのは約2-3社しかないそう。
1900年代初頭に日本に渡り、70年間はこれのみで下着とかを作り続けていたのですが、
その後シンカーの登場で徐々に衰退していきます。
吊り編みはそもそもかなりの手間暇がかかる機械。
上から糸が吊られて、下にある丸い?ゆっくりと回る機械に、重力の力で糸にストレスをかけずに編まれていくので、おのずと空気を含んだような風合いの良さが生まれています。
シンカーは引っ張って無理やり糸を編んでいくイメージ。
天然皮革か合成皮革くらい違いがあるんだそう…
加えて、ホコリが入ったり、歯車にオイルを定期的に塗らなきゃいけない、そういった職人の苦労から生まれる素晴らしい生地。
編むスピードは1時間に1メーター、大体1日に3着位だそうです。
ちなみにシンカーは、おおよそ24倍くらいのスピード。
こりゃあ気軽にもっと作ってくださいなんて言えない、、
スウェットパンツもたくさんの色欲しいなあ。(言えない)
また、よく出てくる"裏毛"というものは、表・中・裏の三本の糸で成り立っている組織のことを言います。
その三本の糸の長さが同じで、引っ張った時の負荷が均等になることで、
強度が高く、それでいてもちもちした仕上がりになるそうです。
だからこそパンツにおいても膝が限りなく出辛い、トップスも同様に長持ちします。
昔は吊り編みしかなかったからこそ、スウェットは高級品だったみたいです。
けどその後シンカーが登場して圧倒的な生産スピードになったことで、徐々に値段も安くなっていきます。
吊り編みが高いわけだ。でもこのスウェット、もはや安く感じます?
長すぎて触れ損ねました。
袖、長めです。
折るなり、くしゅっと溜めるなり好きに調理してやってください。
サイズ感は程よくゆったり。
フォルムはまるでヴィンテージのような仕上がりです。
フロントにはポケットが付き、フードはクロスして深くなっている仕様です。
フォルムを立体に保ってくれるだけでなく、冬場は首元に風が進入することも防いでくれます。
着てみるのもそうですが、人が着ているのをみると余計欲しくなります。
CREDIT
cantate "Satin Herringbone Trousers" ¥54,000 (¥59,400 TAX IN)
首元はやや広めで、丸っとしたフォルム。
いずれも、肩位置に縦にシワが入るようなヴィンテージのような独特な仕上がりです。
僕で175cm、44だとぴったり、
46と48どちらもゆとりを持って着用できます。
CREDIT
cantate "Satin Herringbone Bellows Jacket" ¥78,000 (¥85,800 TAX IN)
cantate "Denim 1955 Trousers" ¥37,000 (¥40,700 TAX IN)
殆ど"スウェット"、というものの話になってしまった。
本当にこれからも長く受け継がれていってほしい技術。
わかっていても、相手に伝わるよう言語化できなければ意味がなかった。
まだまだ無に近い僕、ここからもっと有にしていかなければならない。
これだけでは無いけど、どんどんモノの見方が変わっていく。
洋服の力はすごい。
お腹が空いた、今日は鍋の気分です。
cliché 木下