効率より誠実。そんな服がひとつくらいあっていい。
Frisson Cashmere Scarf|洋服にも、着物にも馴染むマフラー
時間が滲む服。
フォレスティエールという小さな風景
形が語ること。
こんばんは。cantáte 松島です。
去年もたくさん着たリバージャケットに、今年も袖を通す季節がやってきました。
着るたびに思うのは、“リバー仕立て” はただの仕様名ではなく、思想そのものだということ。


<cantáte>
”Hand Rever Wool Flannel Jacket”
COL : GRAY, NAVY
SIZE : 44, 46, 48
¥385,000- TAX IN

<cantáte>
"Hand Rever Chesterfield Coat-Alashan Cashmere"
COL : MID NIGHT
SIZE : 44, 46, 48
¥748,000- TAX IN
<cantáte>
"Hand Rever Chesterfield Coat"
COL : C/GRAY, ECRU
SIZE : 44, 46, 48
¥385,000- TAX IN

<cantáte>
COL : C/GRAY, ECRU
SIZE : 44, 46, 48
¥352,000- TAX IN
今日は、なぜこの技法にこだわるのか。
そしてなぜ cantáte のリバーは、他と比べて “静かに深い” 佇まいになるのか。
その裏側で布と向き合っている 職人の話 をしたいと思います。
作り──布だけで立体をつくるという発想
リバー仕立ては、まず 二重織りの生地の真ん中にカッターで刃を入れて、割くところから始まります。
ここからが、本当の勝負。

一般的な手まつりリバーの断面

cantáteの縫い代がとても薄くなるリバー仕立て
裂いた断面同士を 地縫いでつなぎ、そのあとに続くのが果てしない 手まつり。
cantáte の作り方では、この手まつりの工程が本当に長い。
一着にだいたい “丸一週間” はかかる。
朝から夕方まで、縫って、揉んで、厚みをならして、また縫う。
その繰り返し。
「裏地なし・芯なし・パッドなし」という“ないものづくし”が語られがちですが、
本質はそこではなく、
“布を手で立体に彫っていくような工程”にこそ、リバーの本当の価値がある。
時間をかけることが目的ではない。
時間をかけないと布が立体にならない構造が、リバーという技法なんです。
生地──Super120’s フランネルの陰影

丁寧にくせとりが施されたバルカポケット

これぞ、リバー仕立てらしいぷっくりした縫い目
このフランネルは、織り上がってから仕上がるまで 2ヶ月以上。
一般的なフランネルの 約4倍。
・縮絨
・剪毛(毛を揃える)
・風合い出し
これらを季節や湿度に合わせて毎回微調整し、横着せずに仕上げていく。
柔らかいだけでも、光沢があるだけでもない。
空気を含んだような膨らみと、光で陰影が変わる“奥行き”がある。
リバーの構造と相性が良いのは、生地そのものが語りすぎず、静かに深いからです。
Hand-Fell Armhole──見えない縫い目の最前線

腕の可動域を決めるアームホール。
ここもミシンでは終わらない。


袖山は運動量を確保するためにたくさんのイセを入れている。
縫い代を手で揉んで、肩や腕の動きに沿うように整える。
表からは見えないけれど、着心地を左右する最重要のポイント。
効率とは真逆の工程だけれど、この“余白”が袖を落ち着かせる。
シルエット──軽やかで、深く、揺れる



CREDIT
cantáte ”Brushed Nep Check Open Collar Shirt”
cantáte ”Denim Flare Trousers”



CREDIT
cantáte ”Fluffy Crew Neck Pullover”


CREDIT
cantáte ”EX Wool Deep Skipper L/S Shirt”



CREDIT
cantáte ”Fluffy Crew Neck Pullover”



CREDIT
cantáte ”Fine Garbadine French Trousers”




CREDIT
cantáte ”Fine Garbadine French Trousers”



CREDIT
フランネルジャケットは、羽織った瞬間に体に沿う。
チェスターコートはノンストレスなのに深いドレープが落ちる。
軽いのに軽く見えない。
柔らかいのに芯がある。
ゆるいのにだらしない印象にならない。
この矛盾を両立できるのは、
リバーという“手仕事の構造”が土台になっているからです。
見えないところほど手が入る

フラップですら、手まつり。ぷつぷつした縫い目見えますか?
フレンチブルゾンでは、フロントの4つのポケットをすべて手まつり。
構造線は“分厚さ”が出ないように縫い代を薄く整える。


着た時に馴染む肩線の手まつり

月腰無しの一枚襟
一着でいちばん時間を使うのは、じつは“裏側”。
ここを軽く作ると、一気に服の重心が崩れる。
フォーマルでもワークでも、ここまでやるブランドは少ない。
でも、cantáte はずっと思っている。
服は、見えないところで決まる。
結論──静かで、強くて、嘘がない服を




派手でもない。
流行の匂いもしない。
“今っぽさ” を狙ってもいない。
けれど、袖を通した瞬間、
体がゆっくり落ち着くような感覚がある。
それは、裏側で一週間かけて縫われた時間がそのまま着心地になるから。
効率に寄らず、嘘をつかず、布に正面から向き合っているから。

Frisson Scarfとの組み合わせは最強
リバー仕立てのアウターは、
静かで、強くて、誠実。
今年もその季節がやってきました。
ぜひ店頭で、“空気の変わり方” を感じてみてください。
世の中の服とはまったく逆のつくり方です。
cantáte 松島 紳