冬の服は、軽さじゃなく “説得力” で選ぶ。
贈る前の時間。
普遍に、ひとつの違和感を。
効率より誠実。そんな服がひとつくらいあっていい。
Frisson Cashmere Scarf|洋服にも、着物にも馴染むマフラー
こんばんは。cantáte 松島です。
冬が深まりはじめると、街にはいろんな“軽いアウター”が並びます。
軽い、扱いやすい、便利。
その言葉は正しいし、確かに必要な場面もある。
でも年々、寒さその物の“質”が変わってきていると感じています。
朝の空気が貼りつくように冷えるとき、
帰り道の光が硬くなる夕暮れのとき、
身体のいちばん近くに“説得力のある素材”があると落ち着く。
軽さだけでは埋まらない安心。
これは誇張ではなく、冬の現実だと思う。
今日は、その象徴のような三着をまとめて話します。

<cantáte>
COL : KHAKI
SIZE : 44, 46, 48
¥148,500 TAX IN
<cantáte>
”Sheep Skin Quilted Down Jacket”
COL : NOIR, KHAKI
SIZE : 44, 46, 48
¥605,000 TAX IN


<cantáte>
COL : BLACK, CAMEL
SIZE : 44, 46, 48
¥825,000 TAX IN
質量も温度も構造もまったく違う三つ。
でも、根っこにある思想はひとつ。
“冬は軽さではなく、誤魔化さないつくりで整える季節。”
CREDIT
cantáte ”Turtle Neck L/S Shirt”
── 軽いのに、軽く見えないダウンを作りたかった。
ナイロンダウンは、軽く作るだけなら簡単です。
でも、“軽いだけのナイロン” は冬にすぐ負ける。
素材が薄いと風の硬さに表情がついていかないし、
光が乗ったときの密度の差が出てしまう。
だから、このモデルではまず 素材の誠実さ から作り直しました。
高密度ナイロンという安心感
高密度で織ったナイロンは、光の入り方に嘘がつけない。
面で光らず、筋で光る。
触れると “密度の影” が手に残る。
軽さの中にある“確かな重心”。
それが、冬の空気の硬さとちゃんと噛み合う。
金属の静けさ── EXCELLA
合わせたのは YKK EXCELLA。
務歯を一本ずつ磨いた、あの滑らかさです。
金属なのに音が静か。
空気までまっすぐ動く感覚。
このファスナーを触ると、服全体の緊張感がひとつにまとまる。
軽いけれど、軽く見えないという答え
世の中のダウンは“軽さ”ばかり語られるけれど、
軽く作りすぎると素材の存在感は消える。
だからこのモデルは
「軽いのに、軽く見えない」 を軸に作った。
最初の冷え込みにちょうどいい。
冬の入り口の“信頼できる軽さ”がある。
Sheep Skin Quilted Down Jacket
CREDIT
cantáte ”Turtle Neck L/S Shirt”




CREDIT
cantáte ”Turtle Neck L/S Shirt”
── レザーとダウン、その矛盾を一着にまとめる
レザー×ダウン。
普通に考えれば相性は悪い。
重く、硬く、動きづらくなるのが当然。
でもスペイン産エントレフィーノ(6〜8ヶ月ラム)と
cantáte のパターンなら、それがひっくり返る。
レザーなのに、体温に沿う
エントレフィーノは触れた瞬間、体温を吸うような質感があります。
厚みがあるのに、動きが重くならない。
革の落ち方が滑らかで、ダウンの膨らみを邪魔しない。
封入ダウン量はナイロンの約2倍
レザーの存在感に負けないよう、
封入しているダウンは ナイロンモデルの約2倍。
それでも重く感じないのは、革のしなやかさが重心を下げすぎないから。
冬本番の温度に向けた “静かな膨らみ” がある。
すべて接ぎで構成したダイヤキルト



最大の特徴。
一枚革にステッチを入れるのではなく、ダイヤ一つひとつを裁断し、接ぎ合わせてキルトを作る。
とんでもない手間。
でもこれをやると、
立体感 / 可動性 / 陰影の深さ
すべてが段違いに美しくなる。
さらに、この構造にはもう一つの意味があります。
ダイヤの一つひとつに合わせて、
中に入れるダウンパックも同じ大きさに裁断している。
だからまず ダウンが噴き出てこない。
噴いてきたとしても “縫い目に挟まっていた物が” で外へ出ただけ。
構造的に、ダウンジャケットとしてこれ以上の作り方はない。
つまり、痩せないダウンジャケット。
レザーの重さが、ただの重さではなく
“説得力” に変わる理由が、まさにこの工程。
Mouton Jacket
── ラグのようで、凛と立つアウター
ムートンは、原皮を見た瞬間に良し悪しがわかる。
cantáte が使っているのは、医療・寝具分野にも使われる特別な原皮。
毛足の密度、反発、光の入り方。
どれも強い。どれも嘘がない。
着た瞬間の“包まれ感”と、そこに生まれる品
袖を通すと、ブランケットに包まれるような安心感がある。
でもそこに甘さはない。
CREDIT
cantáte ”Turtle Neck L/S Shirt”
肩に残した余白、袖の太さの設計、革の薄さ。
防寒着のムートンではなく、
“立ち姿が整うムートン”を目指した一着。
削りすぎると弱くなる。
盛りすぎると野暮になる。
バランスの緊張感で立っている服。
冬の主役としての説得力
寒さが深くなるほど、この服の意味が増す。
毛並みが落ち着いていく過程もきれいで、
最後まで暖かい。
冬に一番頼れるアウターは? と聞かれたら、
ぼくは迷わずこれを出す。
三つのアウターを並べて見えてくること
ナイロンは “風”。
レザーは “熱”。
ムートンは “呼吸”。
まったく違うのに、三つ並べると一本の線になる。
軽さの再定義。
重さの再定義。
静けさの再定義。
冬という季節は、厚みで勝負するのではなく
“空気の扱い方で服の良し悪しが決まる季節”。
終わりに──冬の服は、軽さでは測れない
雑につくられた服は、寒さですぐ弱点が出る。
誠実につくられた服は、寒さでむしろ強さが出る。
今日の三着は、
“冬が答えを出してくれる服” だと思っています。
ぜひ店頭で触れてほしい。
袖を通して外へ出た瞬間、
それぞれの服が “冬の空気の中でどう立ち上がるか”
すぐにわかるはずです。
cantáte 松島 紳
















